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不動産コンサルタント 大野レポート No.21
タカラ塾
2013年1月1日
『知性の劣化?我々は何を選択したのか?』
 2012年12月16日、衆院選挙の結果、政権与党であった民主党は惨敗し(57議席獲得)、自民党(294議席)、公明党(31議席)が合わせて325議席を獲得し、圧勝(衆院議席の3分の2獲得)しました。
 今回の選挙は前回の2009年8月の衆院選挙の結果と真逆で、国民は自民党の政策に投票した人が30%とするなら、残る70%の票は、この3年3ヶ月の民主党の政治に対する拒絶を現す投票行為であったといえます。
 大野レポートNO.17(HPよりタカラ塾、大野レポートのバックナンバー参照)にて述べた通り、民主党政権は、反構造改革・反新自由主義勢力の第一歩は進み始めたものの、鳩山内閣で躓き、その後の菅政権、から野田政権(完全に財務省主導に戻った)と国民の目からみても、失策、失政が続き終盤は、小沢氏中心に大量の離党者が続出して、もはやだれが見ても、レームダック状態の中で、野田総理は自らの墓穴をほる形で解散総選挙に追い込まれたのでした。
 今回の選挙結果(民主党の惨敗、自民党の圧勝)は、今後政界再編がない場合、わが国で保守二大政党を作り出すことに失敗したのみならず、日本に於いて将来デモクラシ―の危機的状況を作り出すことになる可能性が高いという歴史的な意味においても、後世に禍根を残すこと(今回の選挙結果が数年後に、歴史の転換点であったことに気付くかも。)になるかも知れません。
 2年前の3・11の東日本大震災のことが忘却される中、あまり考えたたくはないが、もっと大変なことが起こらないと目覚めることがない人々の習性があるように思えてなりません。
 今後、保守か超保守かという器量の狭い範囲での政治、政策論争の中で特にメディアや一部の新聞マスコミ主導の劇場型政治が増強されていく中で、声高に勇ましい発言をする政治家に、国民は次なるより強いリーダーシップを求める心境になる人々が増えていくような状況であるといえます。  ・・・民衆の発言権が大きくなると政治は劣化する。(知性の劣化。)
 デモクラシ―の元祖である古代アテネがペリクレスの死後、衆愚政治に陥ったのも、民衆が愚かになったからではないと、塩野七生氏はいう。
 衆愚政治とは、有権者(アテネの場合はアテネ市民権所有者)の一人一人が以前より愚かになったゆえに生じた現象ではなく、かえって有権者の一人一人が以前よりは高く声を上げ始めた結果ではなかったか。

タカラ塾塾長    大野 哲弘

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